飛騨木工連合会による「飛騨の家具®フェスティバル」2024年のメインブースデザイン。
ディレクションは「飛騨の森でクマは踊る」が手がけ、ソヂ大竹絢子と協働で設計を行った。テーマは、飛騨デザイン憲章第3条「心の豊かさ〜こころ豊かに暮らす〜」。この理念に応える空間として、飛騨地域に伝わる伝統的な建築技術「くれぶき」と、その素材である「くれ板」に着目した。
ブースの二方には、高山陣屋に保存されている約600枚のくれ板を用いた屏風を設置。くれ板は飛騨の森の広葉樹から大工の手作業によって作られ、木の繊維の流れや手割りの力加減によって一枚ごとに異なる表情を見せる。そうした“微差”が折り重なることで、光を柔らかく受け止め一部を反射しながら、空間に繊細な質感と奥行きを与えている。残る二方には、飛騨木工連合会の8社から提供された50本以上の家具脚部を用いた什器を配置。それぞれ異なる設えの脚は、曲木椅子に始まる飛騨家具の歴史と、多様なつくり手の存在を象徴する。これらを組み合わせて形成したテーブルやカウンターは、「飛騨つくり手市」や「FabCafe(飛騨古川)」のサテライトショップの場をかたちづくっている。
屏風と什器は互いに程よい距離感を保ち、四方いずれからも通り抜けることができる表裏のない構成とすることで、来場者の動線に応じて自然と滞留や発見が生まれるような、開かれた空間を計画している。
使用したくれ板や家具の脚は、会期後もとの場所へ戻り、再び屋根や家具として息を吹き返す。循環する資源と技術、そして微差が織りなす豊かな質感を通して、「こころ豊かに暮らす」ことの源泉を体感できるブースである。
設計:プフ設計、ソヂ
ディレクション:飛騨の森でクマは踊る
施工:飛騨の森でクマは踊る・こうこう舎
写真:飛騨木工連合会、飛騨の森でクマは踊る、石原愛美